事実が定かでない奇妙な暴力の記憶です。
園児の頭を石で殴る
幼稚園児の頃、年下の園児の後頭部を石で殴りつけて怪我をさせた記憶がある。
彼の父親は、俺たち家族と同じ教会に通っていて、多少の関わりがあった。息子の方は幼かったからあまり会話が成立した記憶がないが、少なくとも仲が悪いとか普段からいじめていたということはなかった。
何かを覗き込むようにしゃがむ彼の後頭部を、この石で殴ったらどうなるんだろう。そういう好奇心だけで殴った記憶がある。
彼の頭からは少し血が流れていて、俺は先生に呼び出されてなぜそんなことをしたのか聞かれた。その場でなんと答えたかは思い出せないが、そこに頭と石があったからとしか言いようがないだろう。
俺が本当にこんな突飛なことをしたのかは不明だが、俺の記憶ではそのようなことがあった。今度親と話す機会があったら聞いてみようと思う。
友達の顔面を殴って目から出血
俺の友達は少なからず皆風変わりだったが、中でも周囲から煙たがられている奴がいた。俺と同じように授業中に出歩くのは当然で、いつも変なことを言っているので俺は面白がっていたが、周りの健常な上級生からは嫌われていた。
特に放課後よく遊んでいた上級生が彼のことを殴りたいと言っていたのを覚えている。
ある日彼らとスポーツクラブの練習に向かう時、公園に自転車で乗り入れる同級生を発見した。小学校と児童館、幼稚園が隣接するその公園では、芝生の広場に自転車で乗り入れるのは危険とされていた。
それを見た上級生が悪態をつき、気が付いたら俺は同級生の顔面を殴っていた。
その後同級生の母親から電話がかかってきて、彼が目かその付近から出血していたことを知らされた。
放課後のことだったのでその件は児童館が持つことになった。その場にいた上級生と一緒に事務室に呼び出され、俺は上級生にやれと言われたと答えた。先生が「じゃあ死ねって言われたら死ぬの!?」などと言うので口ごたえしていたが、その間も上級生は「そんなことは言っていない」と抗議していた。
実際、彼はそんなことを言っていなかった。
上級生が彼にヘイトを持っていたのは確かだが、その場で殴れとは一言も言っていなかった。俺は同級生を一切憎んでいなかったが、謎の天啓によって彼の顔面をぶん殴った。奇妙な話だ。
もしかすると本当は殴れと言われたのかもしれないが、今では思い出すことができない。どちらにせよ理由もなく友達を殴ったというのは事実だ。
俺の偽証によって傷つけられた上級生の名誉がその後回復したかは分からないが、目から血を出したという友達は幸い大事に至らなかった。一生モノの傷にならなくて良かったと今でもほっとする。
俺は謝罪の手紙を持参して本人に直接謝ったが、その後彼は転校していった。